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風が止まった

2013年の総括記事群のあいだではありますが、どうしても書いておかねばならないニュースが飛び込んで参りました。

男の娘専門誌「わぁい!」が休刊
http://natalie.mu/comic/news/110626

過去に総括記事を書いているときも、ずっと私は、女装コミック、男の娘コミックは、追い風だよ! と言い続けてきたのですが、ここにきて、初めて確実に「風が止まった」ことを感じました。
平たく分析すれば、男の娘や女装モノというのが特殊なジャンルではなく、一般作品に普通に帰納されたってことだろうな、と思います。

先日出ました、ぷらぱ「だんしんぐ!!」集英社 を読んだときに思ったことがあります。

え、この使い古されて手垢ついたような設定を今からまたやんの? って。キャラはとっても可愛いけど、設定に新規性はどこにもない。何度も何度も読んだよそういうの。
しかし、それはあくまで私のようなスレた好事家の意見であって、漫画を読むユーザーを広く見渡したときに、まだ残る純粋な新規読者の層にアタッチするためには、温故知新、あえてお約束を何度でも踏むことによって強靭にしていくプロセスが必要なのかもしれません。個別の作品としては全然悪くないですよ。

ジャンルとしては生き残るでしょうけれど、あえてまとめるというところが特異点ではなくなったのかもしれません。
あ、あとね、看板作品の不在はやはり大きいんじゃないかなと素人的に思います。「リバーシブル!」が終わって、「ひみつの悪魔ちゃん」が確実に終わりに向かって、初期の二大看板がなくなり、「ひかるtoヒカリ」とか「ひめゴト!」がよい感じに育ってきてはいるけれど、ブレイクに間に合わなかったという感じかしら。アニメ化はとてもすごいニュースだけれど、そのブレイクの紙吹雪を回収できないのはもったいないなあ。ほんとに突然決まったんですね。

じゃあ、女装モノのコミックに未来は無いかと言えば私は全然そんなこと無いと思っていて、期を同じくして発売された、掘骨砕三の「かわいいボク」がかなりの傑作だったことも特筆されるかなと。

これは成年コミックでの傑作でしたが、ポスト放浪息子、ポストプラナスガール、もっと言えば、ポストストップひばりくんのような作品はまだまだ生まれる余地があります。
凪の世界の中で、まだ私はしばらく旗を立てて、次の作品を待つことにいたします。

「わぁい!」「おと☆娘」の両誌関係者のみなさまお疲れ様でした。また是非次の一手を。

この女装コミックがすごかったね!2013年版【ミリオン出版編+追補】

[壁]_・。)

いやほんとすみませんでした。と、誰に向かってあやまっているやらですが、ずいぶんとサボりやがりましたね、私。

もうね、そろそろ3月ですよ。2013年を振り返ってる人なんて今更いませんよ、と思いますが、やり残したことはやっておかないとすっきりしません。花粉でよりいっそうすっきりしなくなる前に、きれいきれいしましょう。

さて、男の娘コミックの二大巨塔、ミリオン出版編です。「おと☆娘」シリーズ、といえばわかりやすいでしょうか。
ただ、残念ながら男の娘雑誌「おと☆娘」は休刊してしまいました。またいつかカムバックすることを祈念しつつ。

おと☆娘Ω

雑誌形態だった「おと☆娘」ですが、最後だけはこのような単行本形式で発売されています。
あれこれ付録つけすぎたツケなんじゃないかしら……とか今更言ってもしょうがないか。あとですね、最後の最後に2本落ちてるとかあんまり笑えないような気もしますが、これも今更言ってもか。

オトコの娘コミックアンソロジー 絶対服従編
オトコの娘コミックアンソロジー 純情天使編

このコミックアンソロジーも4月の純情天使編を最後に出ていません。ここに来て初めてブームの末尾らしいものを見たような気はいたします。大きなうねりのようなムーブメントは終わっても、深く定着したものはもう動かないかなと私は割と楽観的ですが。
定期的で無くてもよいので、単発作品だけを集めたアンソロはまた時々編んでいただけると嬉しいなあ。

妹弟コミックアンソロジー

弟なのに妹みたいな「イモオト」ってのはおもしろい。けど、うまいことを言っても流行るとは限らないのが難しいですね。
すでにアンソロやおと☆娘に掲載されたものに数編の描きおろしを加えて編まれたアンソロです。テーマを絞って集めるのは同じような話ばかりになってしまう危険性もありますが、そのあたりはクリアできていますし、バラエティにとんでてなかなかよかったです。

友香子「執事でメイドなおとこのコ」

連載中はさほど目を惹かなかった作品でも、単行本にまとまることによって一本筋道が見えて、なるほどこういうお話だったのか、おもしろい! と再評価するケースがあります。ま、単に私の記憶力が雑誌連載に向いてないってことではあるのですが、この作品なんかはその典型でした。
私は、番外編の「女装玩具」という作品について、男の娘コミックとしてかなり高く評価しています。至高と言ってもいいかもしれない。お話としてはページ数の関係もあり、若干無理がある部分もありますが、あのサイレントで語られる男の娘としての成長を表すページと、その後の自信に満ちた表情が本当に素晴らしい。

ひな姫「あまはら君+」

男の娘をトリックスターとして扱う作品は数多くあれど、毎回違う子を女装させてなおかつセラピー的な成長をもたらせる、というのはこの作品が唯一無二かもしれません。
そしてお約束の全員集合のエンディング。よいです。

つむらちた「ミキの放課後」

可愛い絵柄で割と直球のボーイミーツボーイ。王道ではありますが、ミキの可愛さと伊月くんのわかってるんだかわかってないんだかの若い感じにやきもきしたりして。あと、あんまりコミックで感じることは少ないのですが、この作品のミキちゃんには、リアルな性のゆらぎがあります。この子は将来本当に女の子になるんじゃないかなと思わせるものがあるんだよ。特におまけコミックの後日譚がよかったです。

クロマメ「神嫁ですけどっ!」

人外ものってあんまり読まないんですが、これは読みやすくてすんなり入り込めたなあ。意外なものの擬人化ってのも個性的でよかったです。それ以外の短編もひとひねりふたひねりあって、オトコの娘漫画の名手って帯の文字は決して大げさじゃないかもな、と思います。絵には好みがあるかもしれませんけれど。

とめきち「おと☆こい」

タイトルどおり「恋」がテーマです。男の娘が男に可愛いと言われて心動くシーンは何度見てもよいものです。それが手を変え品を変え次々と読める幸せ。
えっと、いわゆる「NTR」系の作品もあるんですが、えー、私はそのジャンルは今ひとつ入り込めないなあ……みんなどのポイントに感じ入るんだろう。

吉田悟郎「オトコの娘ラヴァーズ!!」

オトコの娘コミックというよりは、オトコの娘コミックを愛する人たちのコミック。よい視点です。けど、読者の心を見透かされる部分もあって、ちょっと気恥ずかしいところも。
メタフィクションというか、現実とフィクションが入り乱れる構成や、カラーページの架空のオトコの娘コミックの表紙がとてもよいです。吉田さんは他にも普通のオトコの娘作品描いてらっしゃったので、そちらもまとめて欲しいなあ。
ところで帯にオトコの娘萌えを「ニッチなジャンル」って書いてますが、やっぱ作り手もそういう意識だったのかしら(まあ、メジャーじゃないわねえ……)。

わだぺん。「煌!男の娘塾」

一時期流行りましたハウツウ本とコミックが合体いたしました。漫画で読む男の娘入門ですね。今まで無かったのが不思議なぐらいです。でも、先のオトコの娘ラヴァーズ!といい、これといい、「男の娘」を換骨奪胎してあらゆる方面からアプローチしようという方針に野心が見えてよい感じでしたのに。やり尽くしちゃった感があったのかもしれませんね。


というわけで駆け足でミリオン出版から出ました「おと☆娘」系列の作品をめぐってみました。最後に書きましたが、メタ的なアプローチも含め新風を吹き込んだのは間違いありません。またいつか読める日が来るのを楽しみに待ちたいと思います。

それにしてもなあ。リアルにもそうですが、ほんとに可愛い子が増えました。ハウツウが敷衍してテクニカルな部分が平準化されたってのもあるかもしれませんが、そもそも元から可愛い子も多い気がするなあ。
決して元が可愛くない私からすると羨ましいことこの上ない。ムダ毛の処理とかしなくていいような子がわらわらいるんだもん……。あ、いや、コミックの話に戻りましょう。

2014年に入ってもう2ヶ月が経過しまして、あとから2013年発売の作品だってことに気づいたものなど、落ち穂を拾っておきたいと思います。

木々「ラヴミーテンダー」7巻

大好きなシリーズの最新刊が年末に出ました。クィアな登場人物だらけで、もちろんそこに偏見など無く、みんなが楽しく過ごしているお話。女装シーンもたっぷりあるし、ほのかなラブもあちこちに薫るし、密かにギャグも結構冴えてるし、ああ、おもしろい。願わくば続刊はまた今回みたいに数年待たされることがありませんようにw

米代恭「おとこのことおんなのこ」太田出版

性に悩むということは、ゆらぐ、ということなのです。行動に矛盾もあるし、無理もある。けれど、そこを丁寧に拾い上げるとこんな良作ができあがります。女の子になりたいという気持ちはいつどんな形で吹き上がるかわからないのです。それは自分自身にも。だから、性転換するほどに自分の性別に違和感がある人でも、それに気づく前にはことさらに男らしさを追究してみたりしてるかもしれない。そういうのって、当事者以外にはわかりにくく伝わることがあるよね。でも、それこそが正直なのだ。胸を張るのだ。
お話に関係ないこと描いてるな。でも、そういう気持ちを誘発するような作品なのです。

秀良子「宇田川町で待っててよ。」祥伝社

正確には、2012年に初版が出た作品です。ですので、該当作という意味でははずれます。が、これを紹介しないで何が女装コミックレビューか、とも思うので。
クラスメイトが女装して町に立ってるのを見かけちゃったら、どうする? どう思う? という出だしの部分から一気に引き込まれましたことよ。不器用なやつらだなあ、でも、高校生なんてそんなものだよなあ、なんて思いながら読みました。女装は、メインというよりは装置というか、小道具大道具って感じかも。筋の真ん中に常にふんわりしたお洋服がいる感じ。無骨な(ごめん)男子二人の物語ですが。
巻末の見開きファッショングラビア(?)はオトコっぽさをずいぶんと感じる描き方だけど魅力的。


さて。
次回(まだ続くんです)は、最終回。成年コミックをさらっと語って終わりたいと思います。数年前からそうですが、丹念に成年コミックの中から女装モノを拾い上げるようなことはしなくなっちゃいました。一冊まるまる女装だったり、アンソロだったりしか買っていません。他にもあるんだろうなあと思いつつ。
なるべく早めに更新できるよう努めます。押忍。

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