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グランド・フィナーレ

女装コミック業界において重要な作品が、この夏、ふたつ終わりました。
ひとつは「プラナス・ガール」。もう一つが、「放浪息子」です。まったく対極にありながらも同時期に終了したことに、なんとなく運命を感じてしまったり。

◆プラナス・ガール

プラナス・ガールは、ある意味フィクションとしての「男の娘」を極限まで追求した作品だったかなと思います。藍川絆ちゃんはひたすら可愛く、ひたすら理想的に描かれ続けました。物語的に大きな波乱は無く、ラブコメ的に極めて安全かつ予定通りのところに着地しました。読者もそれを求めていたと思いますし、そもそもそれ以外のルートは無かったですよね。
ショート・ショート的というか、一回数ページのコネタを集めた回が何度かありましたが、そうやってちょっとした日常を掬いあげていくスタイルがこの作品に合っていたと思います。
私個人的には、後日談のちょっと髪が伸びた絆ちゃんがドストライクでですね。あれは大変によいものだと思います。もうあとは薄い本で補完するより無いのか……。
というか、意外になのかそんなものなのか、二次創作はそんなに多くないですよね。pixivで検索してもイラストを描いてる人、あんまりいません。あまりにも完成されちゃったカップリングは妄想の余地が少ないんでしょうか。
ああ、そうそう、最終巻のカバーという大事な場所において、絆ちゃんを大きく描かず、キーにもなっていた桜を主役に据えたのはよかったと思います。賛否あったかもしれませんが。

◆放浪息子

一方の放浪息子は、芸能界を舞台の一部にしているのにもかかわらず、極めて日常的な「女の子になりたい男の子」を描いた作品でした。連載開始から10年あまり。15巻にて、修一くんの放浪は終わったのか、といえば、実にそんなことはなく、まだまだ続くんだろうな、というエンディングでした。
終了少し前の単行本の表紙に描かれた修一くんが、あからさまに「男」として描かれているのを見て、なんと正確で残酷な描写だろうと思った私は、同じように第二次性徴を恨みながら育ってきました。ヒゲは生える、ムダ毛も増える、身体はゴツくなる。私は身長は162センチで止まっちゃいましたが、その他の男性的身体はもうどうにもならないほどに濃厚でしたもの。あ、今もですけれど。それでも女装しちゃうもんね。あんなちゃんみたいな子は隣にいないけれど。
……私語りはどうでもよくて。
マコちゃんには幸せになって欲しいとしみじみ思います。登場したときから、あ、この子は私だ、って思ったもんな。あ、また私語りか。
と、いうふうに、セクシャル・マイノリティにとってこの作品は、いろんなところに「自分」を見つけ出せる作品でした。

男の娘や女装っ子を描いた作品は、今や数えきれないほど出版されています。おそらくその90%は読んでると思いますが、放浪息子ほどに女装への葛藤を描いた作品は、「ぼくらのへんたい」ぐらいしか見当たりません。
そりゃ、楽しくキャッキャウフフしてる男の娘を見るほうが楽しいけれどさ。地味で露悪的になりがちなテーマで難しいんだろうなとも思うけれど。
実録系じゃないフィクショナルな「放浪」をまだ読んでみたいと思うのです。
先駆に志村貴子がいるというのはいっそうにやりづらいかもしれませんけれど。

*

◆せんせいのお時間

もうひとつ、ロングラン連載が終了した「クィア」なマンガがありました。
ももせたまみの「せんせいのお時間」です。登場人物ほぼすべてがクィアというか、何かしらのマイノリティだったりするのですが、みか先生を中心とした衛星のようにみんな互いに干渉せず、笑って過ごしていました。
関くんが女装っ子でしたが、あくまで女装が好きな男の子として描かれています。今後も学校には女装学生として通ったりするみたいだけど、時々男の子に戻って賑やかしたりしていくのだろうなあ。
同性愛や、そこまでの強感情ではないものの、淡い同性への思いなども頻繁に描かれていて、それが全然嫌味じゃない。ごく普通の心のあり方としてさらっとしてる。21世紀的という言い方ももう古いかなと思うけれど、明らかに私が思春期だった頃とは空気が違います。
ああ、よい時代になったね。バブルだの80年代だの私は大嫌い。もう少し遅く生まれたらよかったのかな、なんて思うけど、まあ、私のようなおばちゃんはそろそろ若いもののために何かを拓いていかねばならない時期なのかなとも思います。

というわけで、いずれの作品も女装っ子コミック的に歴史に残る作品だったと思います。終わってしまったのは残念ですが、ここに続く新しい作品にまた出会えることを祈念いたします。

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