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朧月

案の定というか、思っていた結果になりました。
つまり、任務完了だね。憎まれ役、お疲れ様。
最初のうちは、いつもよりちょっとはしゃいだ感じで、楽しかったよ、なんて報告をしていたんだけれどね。一通り話し終わってから、「そういえば……」なんて思い出した風を装って、「民夫ちゃんの彼女って人が途中で来たんだ。」って。
あら、そう、なんて私もちょっと白々しかったかな。しばらくは大丈夫かと思っていたんだけれどね。お風呂からあがって、テレビ見てると思ったら、涙こぼしてた。
まったく、娘の成長の早さには驚かされるばかりだわ。いっちょまえに本気で恋愛をしていたんだねえ。相手があんただってことにも驚いたけどさ。
まだ、そこらへんにいるんでしょ? 電話で、おやすみ、くらい言ってやってよ。そのくらい、許す(笑)
ところであんた、その彼女とやらは、本物なの? そろそろ父さんを安心させてあげなよ。
じゃあ、またメールするね。

*

その予想通り、まだぼくは、姉のマンションからそう遠くないコンビニの駐車場に車を止めていた。薄暗い夜の闇の中、携帯の明かりがぼくの顔を照らす。車のドアを開け、外に出て夜風にあたる。しばらくやめていたタバコに火をつけて、煙を長く吐き出した。
あれほどまでにまぶしく強い、プラスの感情を、当事者の意思とは別のところで断ち切ることが、どれほど辛いか。姉はどこまでわかっているのだろう。
無理やり笑おうと、口をゆがめて、声を出してみたら、想像以上に湿っていた。無理もないな。ぼくは、失恋したのだ。
「民夫くん、大丈夫?」と、車の中から声がする。
任務を手伝ってくれた友人の奥様がぼくを心配そうに見ていた。ぼくは、鼻を一回すすってから、天を見上げ、ゆがむ星空を認めながら「タバコ、もう一本分だけ待ってください。」と言った。

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